ひかりのまち(長谷川昌史)

ひかりのまち―nerim’s note (電撃文庫)

友人の先輩、というありそうで99%関係ない関係の著者、ということで電撃大賞受賞作から真っ先に読んでみました。とりあえずあとがきに「テーマ」を書いてしまう、というのはみっともないなあ、というのは抜きにしても、そのテーマとやらが十分に消化できていないな、というのが正直な印象。

メインストーリーとなる部分はまあまあ良くできているんですが、伏線用アイテムだの伏線用ストーリーだのの出し方の甘さ、恋愛がらみの要素の無理矢理さが気になりました。出てくるキャラクターが全部ストーリーに必須という意味で、お話先行の小説だと思うのです。それ自体は決して悪くない。が、逆にキャラクター描写は弱い。典型的。特に主人公の没個性ぶりには問題があって、それが主要因と思われるイントロのヒキの弱さは気になりました。

結局お話として表面には出てこなかった要素なんで書いちゃいますが、この世界観では地動説での惑星間の距離の計測方法は確立していないはずです。その辺もちょっと甘いかな。

で、この世界観で続編ですか。それはどうかなあ。

えーと。縁がないとはいえ間接的なつながりがある故の嫉妬心と、それで評価が辛いのは否定しません。

後、全然関係ないんですが、「鋼の錬金術師」の漫画的映像イメージで読みました。どれが誰とは言いませんが、カバーイラストの印象が薄かったのは事実。