手書き文字を上図に書く

私は高校までは普通の字でしたが、これをやって以来、字がうまく書けるようになりました。

http://d.hatena.ne.jp/takerunba/20081226/p2

タケルンバ卿日記から。

うーん。一応教育書道の硬筆を9年やってきた身として反射的に「これはどうかなー」と思ったのですが、よくよく考えてみると「そーでもない?」とか思ったりしてここで再考。

とりあえずタケルンバ氏の主張

私が誤解をしているかも知れませんが原文のまとめをさらにざっくりまとめるとこう。

  • 水性ボールペン+レポート用紙で練習する
  • 手本は50音の明朝体
  • なぞる、横に置く、見ないで書く
  • 真面目にやる、取っておいて比較する

目的は何なのか

紙とペンで上手く書く、というのに筆や筆ペンを持ちだすのはまあ良くて回り道です。特に筆でひらがなを書くというのはえらい特殊な技術です。ということで、油性ボールペンでも万年筆でもその辺はなんでも良いですが、実際に使う/使いたい筆記具と紙の組合せで練習すれば良いと思います。

もう一つ、目的とするレベル設定があります。漠然と上手くなりたい、にも2つありまして、「自分でオッケー」というレベルと「人に感心されるレベル」です。最終的にどっちが上手くなるかは個体差が激しそうで良く分からないのですが、ただ「理想の文字の選定」において差が出てきます。

例えばいわゆる丸文字。これ、横書きの書き方としては読みやすく、習得しやすく、自分個人で収まる範疇ではかなり有力な選択肢です。でも、これで人を感心させることできないし、履歴書には不向きと言わざるを得ません。

ここで履歴書を例に出しましたが、想定している書く文字/文章のバリエーションです。履歴書などの定型的な書類を上手く書きたいのであれば、少量の漢字を綺麗に書けることが重要です。シンプルに言えば、一文字一文字が綺麗であればまあそれなりに見えます。

一方、漢字かな混じりの文章を上手く書きたいのであれば、一文字一文字のバランスだけでなく、ぱっとみて全体が均質に書けているかが重要になってきます。また、「上手い縦書き」と「上手い横書き」は違います。もともと日本語は縦書きのためにデザインされているため、上手い縦書きと横書きでは文字の配置、サイズのバランスが変わってきます。例えば縦書きでは文字の中心を揃えますが、横書きでは文字の中心ではなく、文字の下端を揃える、というスタイルも存在します。大事なのは文章内で統一することです。

見本をどうするか

フォントはあくまで印刷用の文字で、手で書くためにデザインされてはいません。強いて言えば教科書体ですが、手書きの手本を用意したいと直感的には思ってしまいます。たとえば「き」です。フォントでは3画で書ききっていますが、手書きでは4画で書く方がスタンダードです。「む」などもフォントをお手本にするには難しい文字の代表例です。「を」もそうですね。手書きでは2画めの角をフォントほど鋭角にしないほうが綺麗に見えやすいです。直角くらいで充分です。

ただ、よくよく考えてみると、普段の文字を活字で読んでいて、手で書く/読むことがイレギュラーな現在、フォントの文字を真似して、それを自分の手書き文字の理想だと定義するのはそれはそれでアリなんじゃないかと思いました。

書き込んでいるうちに「ここはこうした方がいいんじゃないか?」という疑問は生じるでしょうし。ただ、書き込む前に数パターンの手書き文字を見た方が話は早い。50音揃うかはともかく、硬筆+手本とかで検索すれば手本の例くらいはごろごろ出てきます。

ただ、前述したとおり、一文字一文字を練習するだけでは「文章」を上手く書くことはできません。天性という例外を除けば、全体のバランスが揃うことが必要になります。文字のサイズや位置がばらつかないこと。字間が適切なこと。ただ、これもノンプロボーショナルなフォントみたいに、一文字の占める空間は固定、と架空のマス目を想定して書く、というスタイルを選択するならあまり関係ない話になります。

具体的にどう練習するか

おおむねなぞる、見て書く、見ないで書く、保存する、という方法で良いと思います。なぞるときは正確になぞることよりペンのスピードを極端にゆっくりにしないことが大事です。多少ずれても、ずれたことを認識しつつ適切なリズムでなぞりましょう。

実はこれだけ書いて言いたいのは一つだけだった

「フォントを手本にする? えー」という直感は現代における硬筆では正しくないんじゃないかということ。とりあえずちょっと考えた私の印象は「最善じゃないけど、選択としてアリっちゃアリ」というところです。

あと微妙なのは、ひらがなの対費用効果の良さに関して。ひらがなは確かに文章に頻出しますが、「ひらがなは難しいです」。漢字に比べてバランスを取るのが難しい。また、基本的に曲線で構成されるため、ひらがなが上手くなっても漢字はさほど変わりません。せめてカタカナだけでも練習した方がよさそうですが、それなら最初から漢字でもよさそうです。この辺はどれが良いのか心許ないです。

ちなみにこゆこと書いてる私の字はどうなのよ? ということになると、ナチュラルに書くと平均未満です。真面目に書けば流石に平均は超えますが、全体のバランスが悪いため、上手いとは口が裂けても言えません。

同じ文章で皆の手書き文字を晒しあう、というのも地味に面白そうな気がしますが、発動したとして乗るかどうか分かんないです。私の筆文字は右下で晒していますが、これは有り体に言って失敗作です。というか今見るとよくこの画像アップしたな、という感じ。アップするならもうちょっと書き込んで選別しようよ、と今の私は思った。でも慌てて消すのも何か違うのでとりあえずこのまま。