ユニヴァーサル野球協会（ロバート・クーヴァー）
昔ベストプレープロ野球なんてありましたね。自分はあんまり干渉することのできない野球ゲーム。ダービースタリオンの作者である園部氏が創っていたゲームです。元は1985年のパソコンゲームで、ベストナインプロ野球。どうやら今でもPS2版が出ていたりするようですが、私にとっては過去のゲームです。
という不思議な導入から入るわけですが、この本の野球協会もゲーム上の野球協会な訳です。自分でルールを決めて、自分で黙々とサイコロを振ることで何シーズンも進行させていく主人公のお話です。シーズンオフには新人も登場しますし、トレードなんかもあるようです。そのあたりの一番美味しい話が冒頭に来るのですから、なかなか引きは強いものがあります。
そして現実の生活がどんどんおろそかになったりする訳ですが、だんだん小説の描写も現実なんだか野球協会の描写なんだかわからなくって、このあたりが「ああ、novelだなあ」と思わせます。そこに登場するアメリカ文化だのがもうちょっと分かっているとより楽しめたかも知れません。
つうか帯解説が高橋源一郎ですし、単純にゲームの世界描写で終わる訳がないですね。
個人的には前半のノリで最後まで押し切ってくれると単純に楽しめたけれど、それだと今の時代まで小説として残らないよなあ、とも思います。終盤辛いかもしれませんが、前半は誰が読んでも楽しめると思いますぜ。と。
